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なまいき始め 私の転職・留学物語


とても読後感がいい本だった。
岸本葉子さんがエッセイストになったいきさつを知らなかったのだが、デビュー作の「クリスタルはきらいよ」は読んだ。
 当時は「冷たい夏」というタイトルでドラマにもなった。彼女は2歳年上で、4年大卒だから、短大出の私とは就職活動の時期がだぶる。
 彼女はNHKを熱望しているのだが、生命保険会社に入るのだ。
 その就職活動を原稿にしたら400ページになり、岸本さんは本にしてもらうため、OL業の傍ら出版社に売り込む。その方法が本屋さんにいって出版社の名前を調べ、電話をかけるという地味なもの。実践短大卒じゃ無理だが、東大卒ならあちこちの編集部にいるから、何かコネがありそうなものだけど。

 あの頃はパソコンじゃなかったから、400ページもの原稿になると、コピーを取るのも大変なのだ。
 
 私は在学中に書いた原稿をロッカーに入れっぱなしだった。卒業するときふと思い立って、オール読物編集部に送りつけてみた。
 すぐに送り返されてきて、「もちこみ原稿は原則としてお断りしています。オール読物の新人賞に応募してください」という丁寧な手紙が添えられていた。
 コピーをとっていなかったから、送り返してくれなかったら、あのままうずもれていたのでしょう。
 といっても同社の新人賞はページ制限が30枚かそこらだったと思う。

 「文藝」はたしか350枚だった。いちいち数えないだろうと思い、応募した。事実、受賞と出版が決まった後、ページ数が多いことに担当編集者が気づいた。が、とくに問題にはならなかった。
 のどかないい時代でした。ライター不足で、どこの出版社も書き手をさがしていたし、今とは大違い。
 そんな日々を思い出させる本だった。


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